CIGSコラム:2024年のアメリカ大統領選挙戦に向けた解説:シリーズその2
Kenji Kushida
キャノングローバル戦略研究所(CIGS)からの最新コラムです。
以下は要旨です。
2024年のアメリカ大統領選挙戦に向けた解説:シリーズその2
アメリカの分断の本質とアメリカ型民主主義の制度における課題
「ニューハンプシャーのトランプ勝利に導いた17.6万票はアメリカ人口の0.05%、そもそもなぜこの小さな州の影響力が高いのか?」
アイオワの共和党議員集会に続いてニューハンプシャーの共和党のプライマリーで「歴史的な投票数」でトランプが大勝したので、これでいよいよ大統領選も危うい、という報道が多いのですが、そもそもなぜこの非常に小さな州(アメリカの人口の0.42%、しかも大きな都市が無く、人種バランスがなんと白人9割以上という合衆国全体を代表しない州)がこんなに大きく取り上げられるのか。
なんとニューハンプシャー州が、他の州よりも一週間以上早くプライマリーを行わなくてはいけないという法律を作り、あえてプレゼンスを高めているという驚きの戦略なんです。
図2は、アメリカの人口と今回のプライマリーで投票した人を結構正確に表れしています。「民主主義とは」という大きな話よりは「アメリカの選挙制度の設計者たちの想定内と想定外の結果、こんなことになってます」という見方の方が現状把握には役立つと思ってます。