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活動報告

CIGSコラム「僅差でも圧勝を作り出すアメリカ選挙制度の不思議

Kenji Kushida

CIGSの新しいコラムが出ました。

CIGSコラムシリーズ:アメリカ政治、選挙をリフレーミング②
僅差でも圧勝を作り出すアメリカ選挙制度の不思議
URL:https://cigs.canon/article/20241203_8483.html

投票日から2週間ちょっとの時点で、ようやく開票率が99%を超えたので改めて結果を見たら驚きました。

思ったより僅差だったのです。トランプ76.8ミリオン、ハリス74.3ミリオンで、その差 2.5ミリオン。得票率としては1.6%です。

国民投票数の得票率が1.6%だけ違うのに(トランプ49.98%, ハリス48.35%)、アメリカは不思議な選挙人団制度という制度を使っているため、実際に大統領選を決める「選挙人投票」の数が312 (58%) v 226と (41%)という大差となっています。

なんでこんなことになってるんですか?たくさん疑問が浮かびます。残念ながら日本はこれから(長い間)アメリカ政治に振り回されてしまうので、ビジネスパーソンであっても詳しくなった方が良い世界です。

このコラムシリーズで徐々に解説していきます。

CIGSコラム「トランプ圧勝に貢献した「投票しなかった人」の増加」

Kenji Kushida

新しいCIGSのコラムシリーズの第一弾です。通常のニュースとは異なる視座のディープダイブです。

シリーズ:アメリカ政治、選挙をリフレーミング ①
トランプ圧勝に貢献した「投票しなかった人」の増加
URL:https://cigs.canon/article/20241119_8450.html

チャートをパッと見るだけでも専門家の分析ではない一般の報道よりも理解が深まるはずです。

トランプに投票した人は多少増えましたが、民主党に投票した人がかなり減りました。(まだ開票率98%なのでもう少し増える見込みですが)

でも投票しなかった人が前回よりも増えた影響が思いのほか大きのです。

日本も世界もアメリカ内の勢力争いだけではなく、アメリカの独特な選挙制度(憲法に書かれていない後付けのさまざまなルールを含む)にも振り回されるので、知っておかなくてはいけないご時世になってます。

イノベーションやスタートアップ、シリコンバレー活用などはどこにチャンスがあり、どこに地雷があるのかはアメリカの政治力学、政治経済の仕組み抜きでは分からない状況が極端に加速してます。日米関係や日中関係や日本と世界各国の関係もアメリカの行動に大きな影響を受けるので、やはりアメリカの有権者の約31%の投票と、増加した投票しなかった人たちに振り回されることになりました。

特に政治に興味がある人じゃなくても他国(この場合、アメリカ)の政治状況と選挙制度について詳しくならなくてはいけない時代なのはある意味残念ですが、振り回されるみんなはただ振り回されるだけじゃなくて、どうしてこうなっているのかということを理解した方が良いと思ってます。

A US-Japan Council Webinar

Kenji Kushida

11月14日にUSJCのウェビナーにパネリストとして登壇しました。

私がバークレー大学で博士号取得を目指すきっかけとなったスティーブ・ヴォーゲル氏や、長年の知人であるグレン・フクシマ氏と一緒に、米日関係の将来について議論しました。議論は安全保障、経済的な結びつき、両国の国内政治など、多岐にわたりました。

多くの重要なポイントの一つとして、日本は次期政権にとっておそらく優先順位が高くないだろう、ということが挙げられます。しかし、この場合、あまり注目されないことがむしろ良い結果をもたらす可能性もあります。

TMIP講演「アメリカの分断とシリコンバレー、大統領選後の未来図」

Kenji Kushida

11月11日に、Tokyo Marunouchi Innovation Platform (TMIP) とカーネギー国際平和財団のJSV(Japan - Silicon Valley Innovation Initiative)の共催で、双方のメンバー企業・協賛企業向けにアメリカ政治の今後とシリコンバレーについて話をしました。

アメリカの分断とシリコンバレー、大統領選後の未来図

これからのご時世、新規事業やシリコンバレー活用は急速に新規事業部とシリコンバレー部隊のみの話ではなくなります。

アメリカの今後の政権は環境規制などの様々な規制を撤廃する予定ですが、イーロンマスクが目指す自動運転などは現在の連邦政府単位の自動運転ルール(=新しい規制の追加)があった方が急速にスケールするし、SpaceXは大型政府調達が必要で、小型衛星をすでに6000機以上軌道に乗せているStarlinkも政府と組んだほうがスケールしやすいことが考える、単純に「規制撤廃した方が民間企業が伸びる」という話でもなければ、「コストカット=すべての政府機能や調達契約をやめる」ということではありません。

CIGS講演「アメリカ政治のリフレーミングとシリコンバレーから見た今後の行方」

Kenji Kushida

11月8日に東京の新丸ビルでCIGS向け講演を行いました

「アメリカ政治のリフレーミングとシリコンバレーから見た今後の行方」
動画:https://cigs.canon/videos/20241121_8469.html

大統領選の勝敗が確定してから中一日での講演だったのでその後の開票結果で少し変化した部分はありますが、今回の選挙結果を理解する上で参考になります。

トピック:

- 選挙結果の振り返りとリフレーミング

- 世論調査の限界:僅差を計るには不向き

- 投票しなかった人の多さ

- 感情

- アメリカの分断の歴史

- 権力争いを続ける複数の文化圏

- 複数のリーダー像と男性像

- トランプ支持者の複数のタイプ理解へのディープダイブ:「田舎と都会」、「自分の地で他人」、「失われた誇り」「カースト」

- 再燃するトランプ政府とカリフォルニア州の戦い

- シリコンバレーから見た今後の制作プロセスのカオスとトランプの周りの人たちのポジション取り

日本も世界もアメリカ有権者の約33%(国民の約22%)ほどの投票に振り回されることとなりました。

アメリカ内の複数の文化圏の勢力争いの構図や、複数のタイプのトランプ支持者に長い年月をかけて寄り添って分析した書籍など、ちゃんとした分析が色々必要です。経済格差が広がっているのはもちろん大きな要因ですが、それはもっと深い力学や色々な世界観の上に乗っているので、もっと理解する必要があると思ってます。

世界的な不確実性が高まる中、日本としてはできるだけ強い経済と分断を抑えて良い方向に価値を作っていくことがさらに一層大事だと感がてます。私のカーネギー国際平和財団での活動、特にJapan-Silicon Valley Innovation Initiative (JSV) は常に価値の作り方にフォーカスして日本企業のシリコンバレー活用や、シリコンバレーでの様々な価値の作り方について活動していきます。しかもこれからは技術動向と同じぐらい政治的な動向も重要になるので、JSVの毎月のディープダイブ勉強会にはイノベーション周りに加えて、政治経済についてのトピックを続けていきます。

New Japan Summit 2024・Tokyo

Kenji Kushida

11月6日に東京で行われたNew Japan Summitは大盛況に終わりました。

今回は五つの対談やパネルのモデレーターを行い、多くの学びがありました。

基調講演のメインテーマは不確実性が一気に高まる世界情勢の中、企業は新しい価値作りが一層大事になっていくということです。部分最適化では大きな価値は生み出せません。どうすれば良いのかはシリコンバレーでの複数の考え方(「シリコンバレー流」は一つの統一されたものではありません。)から参考になるものは多いです。本当の意味でのユーザーファーストの考え方、解像度が高い近未来ビジョンで外と中の仲間作り、本当の意味でのオープンイノベーション、人材育成など、ワーストプラクティスを避けながら進められるものはたくさんあります。

主催、共催、登壇、参加された皆様に心よりお礼を申し上げます。

カーネギー長編レポート:Japan’s Aging Society as a Technological Opportunity

Kenji Kushida

カーネギー国際平和財団から長編レポートを発行しました。

日本の急速な人口減少は、深刻な社会・経済問題を引き起こす一方で、労働のあり方を根本的に変える技術的なチャンスを提供しています。このレポートでは、日本の人口動態が地域、家族、個人に及ぼす具体的な影響を詳細に分析し、いかに新しい技術や市場機会を生み出すかを説明しています。特に、農業、建設、交通、医療、介護、土地や住宅所有の分野での企業の革新的な取り組みを深く掘り下げています。

作成に協力してくれた多くの方々、フィードバックをくれた同僚に感謝しています。

このレポートは、今後のカーネギー日本プログラムの基盤となり、政策提言や、公共・民間セクターの関係者を結びつける取り組み、日本とシリコンバレーのイノベーションを促進する活動の一部として様々な展開をしていく予定です。

カーネギーのウェブサイトから論文をご覧いただけますが、pdfバージョンの方が読みやすいと思います。

Japan’s Aging Society as a Technological Opportunity: カーネギーウェブサイト/ pdf

デンマーク企業CEO向け講演

Kenji Kushida

9月23日にデンマークの家具&ファッション業界CEO向けに講演をしました。

質疑応答の時間を十分取ることができ、とてもインタラクティブな講演となりました。





講演:ダイキン工業の東大生向けインターンシップ@Stanford

Kenji Kushida

9月16日にダイキン工業の東大生向けインターンシップのために講演を行いました。円安とシリコンバレーの猛烈な物価高騰で、学生にとってアメリカに来て刺激を受けるハードルが非常に上がっているので、このような制度は多いに応援してます。シリコンバレーのエコシステムや多様でディープな産学連携の仕組みなどについてガンガンインプットして良いディスカッションもできました。 短期間の滞在でもこちらで受けられる刺激や「できるよ感」が次につながるきっかけになると期待してます。なので、どんな形であってもどんどん海外を経験できる日本の方が増えた方が絶対に日本のためにもなると信じてます!

Copenhagen Business School

Kenji Kushida

2024年8月27日にコペンハーゲンビジネススクールのエグゼクティブ向けプログラムのためで、シリコンバレーエコシステムやAIに関して講演をしました。

インタビュー記事:経済雑誌「ウェッジ」

Kenji Kushida

新幹線などでお馴染みの経済雑誌「ウエッジ」に取り上げていただきました。取材班が海外出張されて集めたいろいろな形の刺激的なインタビューが載っているようです。私のパロアルトのオフィスに寄っていただき、テスラ体験もしてもらいました。いかにこの地域の充電が全くペインポイントではないことや、現段階ですでにここまで使い物になるオートパイロットに驚かれたようで、この辺に充満している「できるよ」感やエコシステムについて色々語りました。

優秀な人たちが集まって部分最適化を進めていくことに一定の価値は必ずありますが、大きな価値は現状の部分最適化ではない方向性を作り出す人や組織やエコシステムです。

客観的なフレーミングとストーリーを用いて日本の産業発展の歴史を振り返り(*これについてはまた今度)、今のスタートアップエコシステムがたどってきたここまでの発展の道を見ると、日本の将来について必要以上に悲観的にならずに「できるよ」感を感じることができると思ってます。

カーネギー平和国際財団グローバル・リトリート

Kenji Kushida

カーネギー国際平和財団(CEIP)毎年恒例の研究者向けグローバル・リトリートに参加しました。今年はトーマス・ジェファーソンとバージニア大学で有名なシャーロッツビルで行われ、世界各地から集まった同僚たちと物凄く刺激的な時間を過ごせました。

CEIPは本当にグローバルで、デリーにある「カーネギー・インド」、ブリュッセルの「カーネギー・ヨーロッパ」、以前はモスクワにあったカーネギー・モスクワ・センターが現在はベルリンに再構築された「カーネギー・ロシア・ユーラシア・センター」、ベイルートの「カーネギー中東センター」、もちろんワシントンD.C.、そしてカリフォルニアオフィスに拠点を置く私を含むう数名の同僚が参加しました。それぞれのセンターでは様々な研究者が各国の政界、政府、財界などにインプットしたり、現地のオピニオンリーダーになっていて、アメリカや日本から見た世界観とはまるで別のロジックや視野を提供し、本当にグローバルな組織だということを改めて実感しました。

個人的には懐かしい顔ぶれに加えて、新しい出会いにも恵まれました。フォーマルなセッションやパネルに加えて、カジュアルなやり取りからも得るものが多く、お互いの仕事や世界各地の状況について多くを学ぶことができました。

特に印象的だったのは、私たちの機関名にも関連する「平和」のフレーミングです。

平和とは単に戦争がない状態ではありません。

戦争状態でなくても弾圧の元で生きることは真の平和とは言えないでしょう。ちょうどこのリトリートはトーマス・ジェファーソンの故郷に近い場所にいたこともあり、こんなフレーミングもありだろう、という議論になりました。「平和」とは生命、自由、そして幸せの追求ができる状態、と言えるでしょう。これはアメリカの独立宣言に含まれた表現なので他にも色々な考え方や言い方はあるでしょうが。

物理的にはシリコンバレーのど真ん中にいますが、この組織の一員となっていることがこの上なく嬉しいです。

シリコンバレーや日本についての分析を英語で世界向けに発信し、日本へは日本語で発信して、政界、政府、財界、オピニオンリーダーなどへの表立った発信と水面下の色々なインプットやシリコンバレーと日本を繋ぐことを活動の中心に置くことができるので、今、自分がやりたいこととできることにドンピシャです。カーネギーは政治的にも完全独立なので、客観的にアメリカを分析して日本に紹介することもできます。

G1 Silicon Valley

Kenji Kushida

2024年4月17,18日にシリコンバレーと日本を結ぶ大事な活動の一つ、G1 Silicon Valleyが開催されました。

昨年の倍の参加者人数で、大成功でした!Half Moon Bayの素晴らしいロケーションで、シリコンバレー関係者と日本の参加者が来ました。

私はG1 Silicon Valleyのアドバイザリーボードのメンバーとしてパネルの準備に取り組み、モデレーターも務めました。

こういう集まりで重要なのは、日本とシリコンバレーの両方向を向いて、双方とも刺激的で価値のあるコンテンツと出合いの場を作り出すことです。日本に対してシリコンバレーでのホットトピックや分析を紹介するだけではシリコンバレーからの要人たちどういうメリットがあるのかが明確ではないので、シリコンバレーの人たちはなかなか来てくれません。したがってシリコンバレーの人たちに取っても興味深いトピックとキーパーソンを集める必要があるのです。

この会合をきっかけに進んでいるシリコンバレーと日本の双方活用例もいくつか進んでいるのを第三者として見ていて非常にエキサイティングで、これからこういう価値がある繋がりとコラボがどんどん増えていくと願ってます。

CIGSコラム:2024年のアメリカ大統領選挙戦に向けた解説:シリーズ その3

Kenji Kushida

キャノングローバル戦略研究所(CIGS)での、アメリカ型民主主義についての新しいコラムです(その3)

以下は要旨ですが、コラムには分かりやすい図も入っているので是非ご覧ください。

2024年のアメリカ大統領選挙戦に向けた解説:シリーズ その3
アメリカの分断の本質とアメリカ型民主主義の制度における課題

世論調査を見るとアメリカは約29%が民主党支持、28%が共和党支持、そして40%が無党派です。

バイデン支持率とトランプ支持率を比べるだけではこの実態が見えにくく、支持率が高い方が選挙を勝ちそうだという思考モデルに陥りがちですが、実際は少し異なります。トランプ信者は何があってもトランプには投票します。これが共和党支持者のそれなりの割合、あるいは今の共和党支持表明をする人の大部分かもしれません。民主党支持者と表明した人が寝返ってトランプに投票するシナリオはなかなか考えられません。前回の投票と同じようにみんなが投票したら民主党の勝ちです。しかし、どっちの支持層よりも多いのが無党派層なので、この人たちがどうするかが最も大事です。

そうするとトランプ熱狂信者とバイデンを支持しない人の数を足して、トランプが勝ちそうだと安易に結論づけられないと思います。(もちろん、勝つかもしれませんし、8年前の選挙での彼の勝利は全く予想外だったので何も断言できません。)

でも、大事なのは、もうちょっと解像度が高い質問をして、その辺に注目することです。

例えば、無党派でバイデンは全く好きじゃないけどトランプはもっと嫌い、という人がどのくらいいるのか?価値観は伝統的な保守層で、昔は共和党支持者だったけど、選挙結果を否定したり、有罪判決も出ていて91もの訴訟を争っている候補者には流石に一票は入れられないという人がどれほどいるのか?逆に、前回は渋々バイデンに一票を入れたけどもう彼は支持しないので今回は色々な有罪判決が出ていてもトランプに一票、という人がどのくらいいるのか(このパターンの人は会ったことがないのでわかりませんが、そういう人がいる社会には身を置いていないのでそもそも感覚がないということは自覚してます。)また、前回は投票しなかった人がどれくらい今回は投票し、どっちに投票するのか?

ちなみに前回の大統領選挙はバイデンに投票した人がアメリカ人口の24.5%、トランプがアメリカ人口の22.4%程度で、有権者として登録していた人が人口の50.8%でした。

記事へのリンク:https://cigs.canon/article/20240206_7872.html

CIGSコラム:2024年のアメリカ大統領選挙戦に向けた解説:シリーズその2

Kenji Kushida

キャノングローバル戦略研究所(CIGS)からの最新コラムです。

以下は要旨です。

2024年のアメリカ大統領選挙戦に向けた解説:シリーズその2
アメリカの分断の本質とアメリカ型民主主義の制度における課題

「ニューハンプシャーのトランプ勝利に導いた17.6万票はアメリカ人口の0.05%、そもそもなぜこの小さな州の影響力が高いのか?」

アイオワの共和党議員集会に続いてニューハンプシャーの共和党のプライマリーで「歴史的な投票数」でトランプが大勝したので、これでいよいよ大統領選も危うい、という報道が多いのですが、そもそもなぜこの非常に小さな州(アメリカの人口の0.42%、しかも大きな都市が無く、人種バランスがなんと白人9割以上という合衆国全体を代表しない州)がこんなに大きく取り上げられるのか。

なんとニューハンプシャー州が、他の州よりも一週間以上早くプライマリーを行わなくてはいけないという法律を作り、あえてプレゼンスを高めているという驚きの戦略なんです。

図2は、アメリカの人口と今回のプライマリーで投票した人を結構正確に表れしています。「民主主義とは」という大きな話よりは「アメリカの選挙制度の設計者たちの想定内と想定外の結果、こんなことになってます」という見方の方が現状把握には役立つと思ってます。

記事へのリンク:https://cigs.canon/article/20240202_7868.html


令和6年第1回経済財政諮問会議出席

Kenji Kushida

大変光栄なことに、経済財政諮問会議に有識者として招かれて出席してきました。岸田首相、植田日銀総裁、鈴木財務大臣、林官房長官、斎藤経産大臣、新藤スタート担当大臣や十倉経団連会長、新浪同友会会長や東大の柳川先生、BNPパリバの中空さん、そして有識者には慶応の中室先生が出席してました。

自分はシリコンバレーのエコシステムを政治経済の観点から研究し、25年ほどこのエコシステムの中で活動する過程で、様々なシリコンバレーのフロンティアで活躍する人たちは色々な政府関係者からもずっと話を聞いているし、活動を間近で見てきたので、まだまだ日本政府にできることはあると思ってます。資金提供だけではなくてリードバイヤーという役割と、エコシステムのフォーカスポイントの一つを作り、技術の方向性をもある程度定めるコンテスト(賞金ではなく「調達」の可能性がご褒美)などです。アメリカは軍の需要がもともと重要だったわけですが、日本では少子高齢化、過疎化や震災対応、防災などの領域もありだと思います。詳しくはどこかにちゃんと載せますが、スタートアップエコシステムを伸ばすために必要なのは入り口の資金だけではなく、「お客さん」です。しかも一緒に伸ばせる良いお客さん。元気な自治体や知事のレベルだといろんなことができ、国レベルで政府の後押しもあれば特区など使ってやりやすくなる。調達のルール改善など、もちろんハードルはあるが、できることはたくさんあります。

議事録や資料はこちらです。

https://www5.cao.go.jp/keiz.../kaigi/minutes/2024/index.html

写真はこちらから借用しました。https://www.kantei.go.jp/.../actions/202401/22keizai.html

CIGSコラム:2024年のアメリカ大統領選挙戦に向けて分断と政治制度を解説:シリーズその1

Kenji Kushida

キャノングローバル戦略研究所(CIGS)で新しいコラムシリーズを始めました。

2024年のアメリカ大統領選挙戦に向けて分断と政治制度を解説:シリーズその1
有権者2.8%の投票で「トランプ圧勝」となったアイオワ州共和党員選挙に見るアメリカの民主主義制度の課題
少数派による弾圧

アメリカ大統領選の指名選挙でトランプがニューハンプシャーも制し、日本では「次はトランプになるかもしれない」という現実味を帯びた心配をする人が増えています。そこから一歩下がってアメリカ型民主主義について少しずつディープダイブするコラムシリーズを始めました。

「民主主義とは」過半数で色々決めるものだと漠然とお考えではありませんか?でもアメリカ大統領は二度、票の数が少ない方の候補が大統領になってます(息子の方のブッシュとトランプ)

先週のアイオワ州の共和党員集会でトランプが51%勝ったわけですが、これは州の人口のたった1.7%、州の有権者の2.8%の票を取ったことで決まったわけです。今回のニューハンプシャーはアメリカの人口の0.44%しかない小さな州です。今回の党代表選びの選挙に投票した人は約30万人、アメリカの人口の0.1%です。

少人数であってもアメリカ全体を凝縮したようなサンプルだったらバランスよくアメリカ全土の民意を表しているかもしれませんが、アイオワでは-20度にも達した極寒の日にインパーソンで投票所に向かった共和党支持を選挙登録時に表明した人たちってかなりエクストリームなサポーターでしょう。ニューハンプシャーはまたルールが違います。

このシリーズでアメリカ型民主主義の制度が過半数からの弾圧を避けるために作った色々な仕組みが、逆に少数派による弾圧の可能性を招いている実情など、色々な素晴らしい学者たちの研究や、アメリカ政治学者の間では基礎知識であっても、我々一般の人は知らない力学なども紹介します。

記事へのリンク:https://cigs.canon/article/20240123_7855.html

始動講演2024

Kenji Kushida

1月17日に、経産省とJETRO主催の「始動」プログラムでアントレプレナーや大企業勤めの起業家の卵のメンバーに、新しくできた日本政府のパロアルト施設、Japan Innovation Campusで講演の機会をいただきました。みなさん、熱量が非常に高かったので、今の日本ではこういう人たちをいかにグローバルに繋げ、伸びてもらえるかが勝負どころだと強く思いました。

パンデミックでより明らかになったことには、日本がプチ鎖国している間に世界は大きく変わったということ、外に出て刺激を受けられる人が激減したのは非常にまずいということなどがあり、今回のような機会は多い方が良いということです。

また、こちらの受け入れ側からすると、団体で来てもらうほうが有難いです。シリコンバレーの日本人の層はそれほど厚くないので、個別の訪問だと会える人がだいぶ限られてしまいます。そういう意味でもこういうプログラムが拡大したのは良いことだと思います。

今回は冒頭にいつもの「こちらにいると情報量とスピードが圧倒的に早すぎて消火栓から水を飲むような感覚なので、その感覚も伝えたいんです!」というセリフを言い忘れましたが、濃厚な高速セッションでこちらの感覚もそれなりに伝わったかなと思います。

シリコンバレーと日本の関係を見ると、日本人の起業家はいくつもの矛盾するフィードバックを受けるので、大変です。

例えば、「シリコンバレーに来たのに日本人で固まっていては発展性がない」という一方で、「インドやイスラエル、韓国や中国人コミュニティーに比べて日本人のネットワークが弱い」という点。じゃあ他の日本人に会わずに自ら人脈を発掘するだけが良いのか、それとも日本人同士で助け合える要素があったらそれをジャンプ台にした方が早く発展させられるから日本人にも会うべきなのか。答えは、両方でしょう。

また、「短期間でシリコンバレー来ても役に立たない」や「政府の仕事じゃない」という視点と、「日本人留学生が激減している」や「わざわざツテがないシリコンバレーに行くよりも目の前の事業・仕事をきちんとこなした方が大事」と言う視点。長期の留学や事業のベースをシリコンバレーに移転される覚悟の人だけに絞ったら日本人のプレゼンスはさらに弱まるでしょう。短期間であっても、あまりの刺激に自らの方向性を大きく変える人も出てきます。その確率を上げるという考え方と同時に、ものすごくインパクトがありそうな人が少数でも現れれば、それは非常に価値が高いという考え方もできます。例えば今、スタンフォードの学部生から修士課程になっている人は高校生の時にシリコンバレーツアーで人生の方向性を思いっきり変えた人もいるわけです。でももう社会人になっていて、修士やMBAを取る1、2年間もなく、こちらの高コストには今すぐは耐えられないという人は全く来ないほうが良いのでしょうか?超円安の今、政府の支援がなければ成果が分からないシリコンバレートリップよりも目の前の事業に集中した方が良いでしょう、と言う「部分最適化」の選択を取らなくてはいけないというプレッシャーがものすごくかかると思います。

しかし、部分最適化の先に大きな価値はありません。

だからこそこういう機会で思いっきり刺激を受け、できるだけ人脈も作るのがベストだと思ってます。